データの復旧をサポートする独自の仕組みについて

データ復旧の現場では、「復旧率が約半分に留まる」という問題がしばしば発生します。これは、旧型ドライブの手法をそのまま新型ドライブに適用していることが原因であると判明しています。

新旧のドライブでは内部処理(ファームウェア)の構造が大きく異なるため、最適な復旧手順も変化しています。旧方式では、結果として本来の性能を活かしきれず、復旧可能なデータ量が半減してしまうのです。

ドライブは「スキャンされるほど悪化する」

データの復旧が必要となったドライブは、スキャンを繰り返すたびに劣化が進行し、最終的には認識すらできなくなる傾向があります。これは多くの方が経験されている、「接続した瞬間は動いたのに、数回試したらもう反応しない」というあの状況です。

このため、一度の復旧処理で最大限の成果を上げる仕組みが必要となります。

「自動復旧作用」の導入

この問題を解決するため、当社では「自動復旧作用」と呼ばれる技術を導入しています。
この技術により、以下を同時に実現します。

  • ドライブを常に認識可能な状態に維持
  • 読み取り不能となるセクタを極力減少
  • ドライブの負荷を抑えた制御付きスキャン

データ復旧とは、一度きりのチャンスです。その貴重な機会を最大限に活かすため、自動制御による安定した復旧を可能にしています。

「手数」という考え方

データ復旧には、「手数」という重要な概念があります。同じデータを取得するにも、複数のルートが存在します。正常なドライブではどの方法でも問題ありませんが、不安定なドライブでは「最も手数が少ない方法」を選ばなければなりません。

ただし、少ない手数でもリスクが高いルートであれば、あえて手数の多い安全ルートを選択することもあります。このような状況に応じた判断と最適化が求められるため、現在のデータ復旧作業は、手作業だけでは対応が困難になってきております。

統計処理による最適ルートの導出

私たちの復旧システムでは、これまでの膨大な復旧実績を基にした統計的な解析を行い、ドライブごとの最適な復旧ルートを自動で導き出します。これにより、「手数」「リスク」「タイミング」を含めた総合的な判断を自動化し、ドライブの状態に最適な復旧を実現します。

旧型ドライブの不良セクタ構造
不良セクタは単独で発生するため、発生箇所を個別に避けるだけで高い復旧率が得られていました。
例: 10 / 200 / 1200 など
従来はこの回避だけで問題ありませんでした。
新型ドライブの連鎖型不良セクタ構造
新型では、不良セクタが他セクタと「作用しあう」性質を持っています。
例として、セクタ 200が不良のように見えても、 実際はセクタ 20が原因となって悪化させているケースがあります。
→ 原因を取り違えると、回復不能になる恐れがあります。
旧型方式を新型に適用すると?
原因セクタを誤認して回避すると、正しくデータが取得できず、 ドライブ自体を悪化させてしまう場合があります。
→ 結果として復旧率は 半分程度にまで低下。
FromHDDtoSSDによる新型対応アルゴリズム
統計的に「起因する元のセクタ(因果元)」を特定し、
スキャン順序や回避構造を調整することで、より高い復旧率を実現します。

if セクタ200が不良:
→ セクタ20が先に異常なら20を原因と推定
このような自動推定ロジックにより、悪化を防ぎながら正確な復旧を行えます。