


OS管理下の情報は、案外少ない
ドライブを読み書きするOS。つまり、WindowsやLinuxなどのことです。
データを読み書きしている以上、OSはドライブに関するすべての情報を把握しているように思えるかもしれません。
しかし、実際にはそうではありません。
通常の読み書きに必要な範囲だけで見れば、OSが常に把握しているドライブ情報は、案外限られています。
OSは、ドライブから型番、容量、セクタサイズ、接続状態、ボリューム情報、ファイルシステム情報などを取得し、それをもとにデータを読み書きします。
しかし、ドライブ内部で実際に何が起きているのか、そのすべてを常時把握しているわけではありません。
たとえば、詳細なS.M.A.R.T.情報や内部状態を確認する場合、OSは必要に応じてドライブへ専用のコマンドを送り、その応答を取得します。
つまり、OSが最初からドライブ内部のすべてを持っているわけではなく、必要な情報をその都度、ドライブに問い合わせている形になります。
なぜこのような構造になっているのでしょうか。
それは、OS側とドライブ側が、別々の制御装置として動作しているためです。
表向きには、OSがドライブを直接読み書きしているように見えます。
しかし実際には、OSはコマンドを送り、ドライブ側のコントローラがそれを受け取り、内部で処理して結果を返しています。
つまり、OSとドライブは、ある意味では別々のコンピュータ同士が通信しているような関係にあります。
OSは「このセクタを読んでください」「この場所へ書き込んでください」と指示します。
それに対して、ドライブ側は内部のファームウェア、キャッシュ、エラー訂正、代替処理、ヘッド制御、NAND管理などを行い、その結果をOSへ返します。
このため、OSから見えている情報と、ドライブ内部で実際に起きている状態には差が生じることがあります。
OS上では認識しているように見えても、内部では読み取り再試行が増えている。
容量情報は返ってくるのに、実際のセクタは読めない。
ファイル一覧は見えるのに、特定のファイルだけ開けない。
このような症状が起きるのは、OSがドライブ内部の状態を完全に支配しているわけではないためです。
ドライブが故障するということは、OSとは別に動いている制御装置側で異常が発生している、という見方もできます。
つまり、ドライブの故障は、単なる「保存領域の不具合」ではありません。
別の小さなコンピュータが正常に応答できなくなっている状態、と考えると分かりやすくなります。
このため、データ復旧では、OS上で見える情報だけでは判断できません。
OSが何を取得できているのか。ドライブはどのコマンドに応答しているのか。
セクタ単位で読み出せるのか。内部で応答遅延や再試行が発生していないか。
このような点を一つずつ確認する必要があります。OS管理下にある情報は、思ったよりも限られています。
その先にあるドライブ内部の状態を正しく見極めることが、ドライブ検査とデータ復旧では非常に重要になります。
データ復旧サービス ファームウェア
ドライブは、単にパソコンに接続されて動作しているだけの部品ではありません。
実際には、ドライブ自体が一つの小さなコンピュータとして機能しています。
HDDやSSDの内部には、データの読み書きを制御するための処理機構があります。
そこでは、ファームウェアと呼ばれる制御プログラムが動作し、ヘッドの動作、データの配置管理、不良領域の処理、読み書きの制御などを行っています。
つまり、ドライブはパソコンに完全に依存して動いているのではなく、データの読み書きに特化した独立した制御装置として動作しています。
そのため、ドライブが故障した場合、それは単なる記録媒体の故障ではなく、内部の小さなコンピュータが正常に動作できなくなった状態ともいえます。
一般的なパソコンと異なるのは、その機能がデータの保存・読み出し・書き込みに特化している点です。
しかし、内部ではファームウェアが動作し、複雑な制御を行っているため、その異常はデータの読み出し不能や認識不良として現れます。
データ復旧では、このようなドライブ内部の制御構造を理解したうえで、故障したドライブから必要なデータを取り出していく必要があります。
つまり、データ復旧とは、壊れた記録媒体から単純にデータを読む作業ではありません。
データの読み書きに特化した小さなコンピュータの状態を見極め、必要に応じて制御しながら、内部に残されたデータを安全に取り出す作業です。
ドライブ自体も「小さなコンピュータ」
このように、ドライブ自体が「小さなコンピュータ」となっており、データを通信して記録する役割も持ちます。
その「小さなコンピュータ」を動かすためのプログラムをファームウェアと呼びます。
このファームウェアが破損するとドライブが正常に動作できなくなりデータが見えなくなります。



