特殊な形態を取る不良セクタ: ビット腐敗

ドライブには、いつの間にか読み出せなくなるセクタがあります。これらは『ビット腐敗』と呼ばれ、長期保管データなどが該当しアクセス頻度が低いデータが犠牲となります。

以下は、SSDでビット腐敗が起きた様子です。本来はもともと存在するエラービットを代替する代替セクタに自動で置き換わる事によって不良セクタがないように振る舞い、正常に動作します。これはもともと製造時からエラービットは存在しており、代替セクタによって正常な動作を実現することで量産しています。CPUなどでも、仕様でわざとコアの1つを無効とすることで、量産時にエラーのコアが存在したとしても、それを無効処理して正常品として出荷できる、量産に欠かせない手段です。

そこで、状況次第では代替セクタへの置き換えに失敗するケースも多く、その場合は不良セクタとしてその場に留まる性質があります。そこでFromHDDtoSSDの不良セクタ修復機能(不良セクタシミュレーション)では、独自に開発いたしましたドライブ制御のノウハウを駆使し、そのように留まる不良セクタを代替に促す作用を不良セクタに与えると、その場に留まっていた不良セクタが代替セクタに置き換わって直るという仕組みです。

データは書き込めるが読み出せない。ちょっと状況としては信じ難いですが起きます。データは一部でも欠けると壊れてしまうため僅かな損傷が大きな影響につながります。

さらに、このようなビット腐敗の症状が出始めるとアクセスが遅延していきます。なぜなら、他にもビット腐敗が拡散していくためです。

ビット腐敗はこちらの弊社ツールで判別される「危険」セクタを含むため、少しずつコピーいたします。スマートではないかもしれませんが、気にせずこつこつとコピーで構いません。

ドライブにアクセスのち、ファイル一覧が見えれば「正常」でしょうか。アクセスには、BPBおよびドライブに記録されているメタデータ(木構造)からはじまります。そして、目的の階層に辿り着きましたら、その部分のデータ一覧(レコード)を読み出してキューが完了します。つまり、辿り着いたらそこでアクセスが完結しますから、それ以上の読み込みはありません。

よって、全セクタを走査した状況にはほど遠く、ドライブにアクセスできることは、正常性とは結び付きません。「完全スキャン」等の検査が必要です。

RAIDにとって『ビット腐敗』は脅威そのものです。

RAIDは、リビルドに対して、生きているドライブの「全セクタ完全性」を求めます。いつの間にか任意の場所からビット腐敗が発生するとリビルドを失敗させます。リビルドできるか分からないものをバックアップなしで運用する事は、それこそいつかデータを失います。

NASはネットワーク越しでアクセスする性質上転送速度が低下いたします。これにより、ドライブの変化に気が付きにくく、あまり利用されないデータの割合が高い場合『ビット腐敗』の脅威にさらされます。

ビット腐敗には「定期的なバックアップ」をお願いいたします。ドライブの劣化自体に気が付く時間がないためです。このように自然発生する不良セクタは「ビット腐敗」に分類され、コンセンサスの解析要素に加えております。保管されていた大切なデータが、音もなく崩れていく「不良セクタ」という認識で問題ありません。