【ドライブ検査: 統計スキャン】
SORA FromHDDtoSSD
SSDに最適な検査方式を開発

― なぜ「完全スキャンだけ」では不十分なのか?

SSD/NVMeの普及と大容量化により、従来のHDD向け完全スキャンでは把握しきれない現象が増えてきました。
特に解析精度に関しては、SSD/NVMe独自の構造が影響を与えています。

■ 完全スキャンとは?

完全スキャンは、FromHDDtoSSDがv1時代から提供している全セクタ呼び出し型の基本検査機能です。
HDDでは全セクタの読み出しを行えば、おおよそドライブの健全性が把握できました。

■ しかし、SSD/NVMeでは…

SSD/NVMeでは、内部制御ファームウェアとフラッシュメモリ構造の特性により、完全スキャンを行っても一部のセクタには実質的にアクセスされない(=検査されない)ことがあります。

理由:

  • SSD/NVMeのアルゴリズムは、不要と判断したブロックに対して読み出し・書き込みを実行しないことで高速化しています
  • その結果、不具合が潜んでいても表面化しないセクタ=“不確定なセクタ” が存在します

■ 不確定なセクタとは?

SSD/NVMe特有の現象で、「読めない、でも書ける or 書き損じることがある」という曖昧な状態のセクタです。

  • 通常の完全スキャンでは読めない=異常読める=正常と判断します
  • しかし、このような中間的なセクタでは一時的には正常に見えるが、実際には不安定な挙動を示しており、完全スキャンでは見逃されます

■ SSD/NVMe大容量化に伴うリスクの拡大

以前は 256GB 程度のSSDで、主にシステム領域のみを使用していたため、復旧対象となるユーザーデータは限られていました。しかし現在では、2.0TBを超える大容量SSD/NVMeも一般的となり、日常的に重要なデータが保存されているのが当たり前になっています。

この状況下で「不確定セクタ」が潜んでいると、突然のデータ損失に繋がるリスクが飛躍的に高まります。

■ 結論:完全スキャンでは“検出されない”が、“存在している”リスク

スキャン方式特徴限界
完全スキャン全セクタを直接呼び出す従来型スキャン(v1から搭載)SSD/NVMeでは一部セクタが無視される
統計スキャン不確定なセクタを含めた振る舞いを解析的・予測的に評価挙動パターンに基づき、将来の不良化を察知可能

■ FromHDDtoSSDはこの課題に対応するために「統計スキャン」を開発しました

完全スキャンの結果を統計スキャンに反映することで、表面上正常に見える領域にも「不確定な傾向」が存在するかどうかを解析します。

  • 解析精度が上がらない → 実質的に不安定であると判定
  • 統計スキャンで収束が見られる → 安定している領域(完全スキャン結果と同一視可能)

■ 今後の推奨方針

  • HDDの場合:完全スキャンで十分(解析結果と統計スキャンが一致)
  • SSD/NVMeの場合:完全スキャン+統計スキャンの併用が望ましい
     → 特に2TB以上のSSDを運用している場合は必ず統計スキャンでの確認を推奨いたします。

SSD/NVMeの場合、アルゴリズムが不要と判断したアクセスについてはフラッシュへの読み書きが行われておりません。これによりSSD/NVMeは大幅な高速化が実現いたしました。しかし、故障判断が複雑化いたしました。