HDD、いわゆるハードディスクには、大きな衝撃を与えてはいけません。

これは一般的にもよく知られていることですが、当サービスでは、ドライブ検査ソフトウェアの開発過程で、実際にさまざまな検証を重ねてきました。

落下や衝撃によってHDDにどのような影響が出るのか。
その検証結果について、今後一つずつ整理していきます。

まずは、停止中の落下についてです。HDDが停止している状態で落下した場合、故障の発生しやすさは、落下時の向きによって変わることがあります。

特に注意が必要なのは、退避している磁気ヘッドがプラッタ方向へ飛び出しやすい向きで衝撃が加わった場合です。

HDDの動作停止中、磁気ヘッドは通常、プラッタ上ではなく、退避用の領域に移動しています。
これは、停止中のプラッタ表面にヘッドが接触しないようにするためです。

しかし、落下などによって強い衝撃が加わると、その退避しているヘッド先端が動き、プラッタ側へ飛び出してしまう場合があります。

本来、ヘッド先端がプラッタ上で動作できるのは、プラッタが回転しているときです。
プラッタが高速回転している状態では、ヘッドは空気の流れによってごくわずかに浮上し、プラッタ表面に直接接触しないように動作します。

ところが、プラッタが停止している状態では、その浮上する力がありません。

その状態でヘッド先端がプラッタ上に乗ってしまうと、ヘッドがプラッタ表面に接触し、そのまま損傷につながる可能性があります。

つまり、停止中のHDDであっても安全とは限りません。
落下時の向きや衝撃の加わり方によっては、退避していたヘッドがプラッタへ接触し、重大な故障を引き起こすことがあります。

HDDの落下故障では、単に「落としたから壊れた」というだけではなく、停止中か動作中か、どの向きで衝撃が加わったのか、ヘッドがどのように動いたのかを見極めることが重要です。

さて、停止中の落下の次は、動作中の落下についてです。

たとえば、外付けHDDのケーブルを誤って引っ張ってしまい、動作中のまま落下させてしまうケースなどがあります。

動作中の落下は、停止中の落下とは明らかに異なり、大きな損傷につながりやすいです。

HDDは、停止中であればヘッドアンロードなどの機構によって、以前よりもかなり衝撃に強くなっています。その一方で、動作中の衝撃については、現在でもまだまだ弱い部分があります。

もちろん、地震による揺れなど、その程度の衝撃であれば問題にならないことも多いです。
しかし、大きな衝撃や落下となると、話はまったく変わってきます。

動作中に落下した場合、ヘッドクラッシュや、動作中のヘッド吸着を引き起こすことがあります。

特に動作中のヘッド吸着は、停止中やヘッド格納時に起きる事故とは異なり、ヘッドがプラッタ面に強く貼り付くような状態になることがあります。

そのため、無理に通電を続けたり、再起動を繰り返したりすると、損傷がさらに拡大する恐れがあります。




  • 1, 磁石
    ヘッドを動作(シーク)させるために必要な構成部品です。
  • 2, プラッタ
    データを記録する磁性体ディスクでプラッタと呼ばれます。複数のプラッタが搭載されている場合はそれぞれに対応した複数のヘッドが同時に動作し読み書きを行います。そのため内蔵ヘッドは束状の構造になっています。
  • 3, アーム
    アームの先端には「スライダ」と呼ばれる部品が取り付けられておりその部分でデータの読み書きが行われます。
  • 4, 端子
    ハードディスクと電子制御基板はこの端子を介して接続されます。
  • 5, スライダ
    磁気ヘッドを内蔵した非常に小さく薄い板状の部品でデータの読み書きを担う中核部分です。その構造は精密であり耐久性にも優れています。
  • 6, 軸受とモータ
    プラッタを水平に回転させるための軸受とモータで構成されています。現在の多くのハードディスクは、静音性と耐久性に優れた「流体軸受」を採用しており以前主流だったボールベアリング方式に比べて動作音が大幅に軽減されています。その高精度ゆえに、故障したドライブから取り出して他の用途に再利用する方も出ております。
  • 7, コイルと磁石
    ヘッドの動作を支える駆動力を生み出す部分で「ボイスコイルモータ」と呼ばれる仕組みを構成しています。この磁石は非常に強力でHDDにおけるランダムアクセス性能を高めています。現在のSSDには及ばないものの大容量のデータ保管庫としては今なお十分な性能を発揮します。

内蔵ヘッド一式をプラッタに放出する方式が二通りございます。CSS方式とロード・アンロード方式です。そして現在主流のドライブはロード・アンロード方式が採用されております。

回転が停止している状態ではヘッドがプラッタ内周部の専用エリアに接触しております。回転が開始するとその専用エリアから浮遊を開始し浮遊後にプラッタへ放出されます。

ディスク外部にランプと呼ばれる部品を配置しこの場所にヘッドの先端部分を格納します。このためプラッタへの接触は一切ありません。

ここでドライブが故障してスライダの調子が悪い場合はロード・アンロードでも外周部に変形したヘッドが触れる場合が存在しその影響による傷が存在する場合は復旧難易度が高くなります。



図の中央灰色は「プラッタ」・上下の黒い四角が「スライダ」・スライダを支える「ジンバル」・ジンバルの先端に付いている棒状のものは翼、煙草の煙を示す青丸となります。

ここでプラッタとスライダの間隔よりも煙草の粒子が大きいです。またジンバルとスライダとの接続も水平ではなく全てのバランスを保ててようやく正常動作に至り落下等を起こしますと静止していてもこの状態が崩れます。そしてそれが故障につながります。

HDDとスライダ(ヘッド先端)の間隔は煙草の粒子すら通れないほどの間隔です。そのHDD内部は「真空」ではなく真空では動作いたしません。この間隔を作り出しているのは「空気」です。プラッタ上に生じた流体(空気)に一定の力で物体を押し付けると一定の間隔で浮遊します。これをアームで動かす事で物体が移動します。この構造上内部は非常にクリーンです。

このクリーンさを保つのにクリーンルームが使われております。このときに生じる空気の層は非常に固いのですが、それはスライダがバランスを保っている間でそれが崩れればこの機構はすぐに破綻しプラッタ接触となります。

またHDD内部で化学反応を起こしてヘッドクラッシュの原因となる固形物の発生やアームに生じた錆(固形物発生)・気圧変化による水分を含んだ外部空気進入・潤滑油劣化による寿命など複合的な原因が重なる場合も多いです。

ヘッドクラッシュを生み出す原因をフィルタや活性炭などで除去する機構になっており運悪くスライダとプラッタの間にそれらが入り込んだ場合にヘッドクラッシュを引き起こします。プラッタは5000romから7200rpm(7200回転/分)で高速回転していますので壊れたヘッドが接触すること簡単にプラッタ表面へ傷が入ります。それこそがハードディスクの故障する主な原因となっております。