RAIDの中でも、データ保護装置と勘違いされやすいのが、ミラーリングです。
ミラーリングは、確かに複数のドライブへ同じ内容を書き込む方式です。
そのため、1台くらい故障しても大丈夫。
そう考えたくなる気持ちは、よく分かります。
しかし、それでもミラーリングはバックアップではありません。
まず重要なのは、RAIDではOSと各ドライブの間に、RAIDコントローラやRAID管理層が入るという点です。
OSは、RAIDを構成している個々のドライブを直接扱っているわけではありません。
OSから見ると、RAIDコントローラが提示する一つの論理ドライブにアクセスしている形になります。
つまり、OSはRAIDコントローラを通してデータを読み書きしており、その先にある複数のドライブをどのように扱うかは、RAID側の管理に委ねられています。
このため、RAIDを構成しているドライブには、RAIDコントローラやRAID管理情報の影響が入り込みます。
構成情報、メタデータ、書き込み順序、同期状態、ディスク番号、管理領域などが関係するためです。
ミラーリングであっても、故障したRAIDから生きているドライブを1台取り出し、SATAなどで直接接続すれば、必ずそのままデータが見えるとは限りません。
方式によっては単体で読める場合もあります。
しかし、RAIDコントローラやNAS、専用RAID管理機能を経由しないと、正しく認識できない場合もあります。
また、単体で見えたとしても、構成情報や同期状態によっては、どのデータが正しいのか慎重に判断する必要があります。
そのため、ミラーリングは「もう1台に同じデータがあるから安心」という単純な仕組みではありません。
RAIDコントローラ経由で、どのドライブを有効なメンバーとして扱うのか。
どのドライブを基準に再構成するのか。
同期状態に問題がないのか。
その判断には、RAID構成に関する専門的な知識が必要になります。
この点が、バックアップとの大きな違いです。
バックアップであれば、別媒体に保存されたデータを、通常のファイルとして直接参照できることが重要になります。
一方、RAIDミラーリングでは、RAID構成や管理情報を正しく解釈しなければ、データへ安全にアクセスできないことがあります。
つまり、ミラーリングはドライブ故障時の稼働継続性を高める仕組みです。
しかし、失われたデータを簡単に戻すためのバックアップではありません。
RAIDを正しく扱うには、ミラーリングであっても過信せず、別媒体へのバックアップを必ず用意しておくことが重要です。

