「フォーマットしますか?」
「読み取れません」
「ディレクトリが壊れています」
このようなエラーによって、突然データが見えなくなる障害があります。
では、ファイルシステムは、いったいどこを見て、このようなエラーを出しているのでしょうか。
実際にファイルシステムの構造と、ドライブ側のトレードオフ、つまり安全性と性能のバランスから見ていくと、その理由が見えてきます。
ドライブでは、劣化や記録状態の悪化によって、書き込み後の読み込みに失敗するセクタが発生することがあります。
FromHDDtoSSDの完全スキャンでは、このようなセクタを「読み込み不能セクタ」として扱い、黄色のブロックで表示しております。
物理ドライブの観点だけで見れば、それは単に「そのセクタが読めない」という現象です。
しかし、その読み込み不能セクタが、ファイルシステムの重要なメタ情報上に発生した場合、状況は大きく変わります。
ファイル名、フォルダ構造、配置情報、管理テーブルなど、ファイルシステムの中核となる情報が読めなくなると、実データが残っていても、OSからは正しく参照できなくなることがあります。
特にFAT系のファイルシステムでは、管理構造が比較的単純であるため、重要領域が損傷すると一気に影響が広がることがあります。
一方で、NTFSのような比較的堅牢なファイルシステムであっても、例外ではありません。
NTFSにはMFTやインデックス情報など、非常に重要な管理領域があります。
そのような領域の特定箇所が読み取れなくなると、場所によっては、ドライブ全体のファイル一覧にアクセスできなくなることがあります。
その結果、エクスプローラーでドライブ文字をクリックしただけで、「ディレクトリが壊れています」といったエラーが表示され、全データが見えなくなる場合があります。
このとき、実際のファイルデータがすべて消えているとは限りません。
しかし、ファイルシステムの管理情報が読めないため、OSからはデータの位置を正しくたどれなくなっているのです。
つまり、物理的には一部の読み込み不能セクタであっても、その場所がファイルシステムの重要領域であれば、論理的には大きな障害として表面化します。
ここに、ドライブとファイルシステムの弱点があります。
ドライブは、セクタ単位で読み書きを行う装置です。
ファイルシステムは、そのセクタ上の情報を解釈して、ファイルやフォルダとして見せる仕組みです。
そのため、たまたま重要な管理領域に読み込み不能セクタが発生すると、実データが残っていても、すべてのデータが見えなくなるような障害に発展することがあります。
これは、ドライブ側が速度や容量、コストとのバランスを取りながら動作していることとも関係します。
すべての読み書きを常に完全検証する設計ではないため、劣化の兆候が見えにくいまま進行し、ある時点で重要領域の読み取り不能として表面化することがあります。
だからこそ、日頃のドライブ検査が重要になります。
不良セクタが出てから慌てるのではなく、読み込み不能セクタ、応答時間の乱れ、動作安定度の低下などを早い段階で把握する。
そして、重要なデータは必ず別媒体へバックアップしておく。
ファイルシステムの損傷は、一部のセクタ障害から一気に全体障害のように見える形へ進むことがあります。
そのため、ドライブ検査とバックアップは、データを守るうえで欠かせない対策になります。
