ここまで、ファイルシステムの構造や、不良セクタの性質について見てきました。
そこで重要になるのが、チェックディスクです。
チェックディスクが検査・修復の対象としているのは、当然ながらファイルシステムの管理領域です。
MFT、ディレクトリ情報、インデックス情報、配置情報など、ファイルシステムを構成する重要な領域に対して、整合性を確認し、必要に応じて修復処理を行います。
ここで、不良セクタの性質をもう一度考えてみます。
ドライブでは、書き込みよりも先に、読み込み側の不安定化が表面化することがあります。
つまり、「読み込めないけれど、書き込みはまだできる」という状態が起こり得ます。
この性質が、チェックディスクと組み合わさると、非常に厄介な状況になります。
チェックディスクを実行する。
ファイルシステムの管理領域を読み取ろうとする。
しかし、読み取り不能セクタや不安定な領域に当たり、正しく読み取れない。
すると、チェックディスクは、その部分に不整合や破損があると判断し、修復を試みます。
たとえば、元のフォルダ構造やファイル名との対応が取れなくなったデータを、found.000のような形で回収しようとする場合があります。
ここで重要なのは、その修復結果がメモリ上で作られるだけでは終わらないという点です。
チェックディスクは、修復結果をファイルシステムへ書き戻します。
もしこのとき、書き込み側まで完全に故障していれば、書き込み自体が成立せず、結果として元の管理情報が変化しない場合もあります。
しかし、実際には、読み込み側が壊れていても、書き込み側はまだ動作していることがあります。
その場合、読み取れなかったことを前提に作られた修復結果が、正常に書き込まれてしまいます。
つまり、元の管理情報が読み取れない状態で、チェックディスクが新しい整合性情報を書き込み、found.000などを含む修復後の構造へ置き換えてしまうことがあります。
これにより、ファイルシステムの損傷がさらに進み、データ復旧が難しくなる場合があります。
チェックディスクの弊害は、このようなドライブの性質から生じます。
本来、チェックディスクはファイルシステムを修復するための機能です。
しかし、壊れかけたドライブや、不良セクタが発生しているドライブに対して実行すると、読み取れない情報を破損と判断し、その結果を管理領域へ書き戻してしまうことがあります。
そのため、読み込み不能が発生しているドライブに対して、安易にチェックディスクを実行することは危険です。
特に、重要なデータが残っている場合は、まず書き込みを伴う修復操作を避け、現状のままデータを保全することが重要になります。
読み込めない。しかし、書き込めてしまう。
この状態こそが、チェックディスクによってファイルシステムの損傷が拡大する大きな原因の一つです。

