「認識させずに、読み込ませる」と聞くと、少し不思議に感じるかもしれません。
通常は、まずドライブがOSに認識され、その認識状態を前提として、データを読み込むものだと考えられます。
たしかに、一般的な使い方ではその通りです。
WindowsなどのOSは、ドライブから型番、容量、セクタサイズなどの個別情報を取得し、そのうえでボリュームやファイルシステムを認識しようとします。
そして、ドライブ文字が割り当てられ、ファイルやフォルダへアクセスできるようになります。
しかし、データ復旧の現場では、この通常の認識経路が使えない場合があります。
たとえば、ドライブがOS上では認識されない。容量情報が正しく返らない。認識処理の途中で応答が止まる。
ファイルシステムまで到達する前に、OSがドライブを見失ってしまう。
このような状態になると、通常の方法ではデータへアクセスできません。
ところが、ドライブによっては、OSからの通常認識は成立しないにもかかわらず、別の低レイヤーな経路から読み出しを試みることができる場合があります。
つまり、OSに通常のドライブとして認識させるのではなく、必要な制御だけを行い、可能な範囲でセクタ情報を読み出していく方法です。
これは、一般的なファイル操作とはまったく異なる考え方です。
ファイル名やフォルダ構造を開くのではなく、ドライブの応答を確認しながら、読める場所を一つずつ探していきます。
認識できるかどうかではなく、実際にどこまで読み出せるのかを確認する作業になります。
もちろん、このような方法が常に使えるわけではありません。
ドライブの制御系統、ファームウェア、物理状態、損傷箇所によっては、完全に読み出しが不可能な場合もあります。
また、誤った操作を行うと、状態をさらに悪化させる危険もあります。
それでも、通常の認識ではまったく見えないドライブであっても、内部にはまだ読み出せる領域が残っている場合があります。
そのため、データ復旧では、「認識するかどうか」だけで判断するのではなく、認識しない状態でも読み出し経路が残っているかどうかを確認することがあります。
ドライブが認識しない。
だから、もう読めない。
必ずしも、そうとは限りません。
通常のOS経由では読めなくても、ドライブの状態を低レイヤーで確認し、読み出せる範囲を探ることで、データ復旧につなげられる場合があります。
このようなドライブも、実際には一定数存在します。
認識不能になったドライブに対して、無理に再起動や接続を繰り返すのではなく、まず状態を慎重に確認することが重要になります。
