EMモード(緊急モード)によって動作不能に陥った
お客さまよりお伝えいただいた症状
普段とは違う表示が出ていて、全データにアクセスできなくなりました。
症状の断定
ビット腐敗によるRAID-5 不整合&リビルド不可
採用技術:IUEC SORA-QAI FromHDDtoSSD AIデータ復旧システム
ビット腐敗(bit rot)と呼ばれる、ハードディスクに徐々に進行する物理的な劣化が原因で、
複数のドライブが同時に動作不能となる症状が発生していました。
RAID-5構成では、本来1台までの障害であればパリティ計算によって整合性を維持することができます。しかし、ビット腐敗のように、複数のドライブで少しずつ読み取り不能な領域(不良セクタ)が発生していく状況では、ある瞬間に複数ドライブのエラーが重なり、RAID全体が突然アクセス不能になるという非常に厄介な特性があります。
🔍 復旧のアプローチ:全ドライブのスキャンと整合性優先
今回の復旧作業では、RAIDの再構成やパリティ処理よりも、まずすべての物理ドライブの整合性を確保することを最優先とし、各ドライブに対して個別に詳細なデータスキャンを実施しました。
この処置により、状態の良好な3台(あるいはすべて)のドライブからRAID全体のイメージを生成することに成功し、最終的には、元のデータ構造を正確に再構築して復旧することができました。
💡 ビット腐敗の注意点
ビット腐敗は、長期使用されたディスクや保管状態に課題のあるRAID環境で発生しやすく、S.M.A.R.T.情報では検出できないケースも多いため、予兆なく発症するのが特徴です。
RAID構成であっても、複数ディスクが同時に損傷を受けるとパリティでは対応できなくなるため、
・定期的な全セクタスキャン
・RAID全体のバックアップの確保
が非常に重要となります。
RAID構成の復旧は、一見論理的な整合性だけでは対処できない物理要因が関わる場合も多いため、異常を感じた時点で速やかにご相談いただくことで、より安全かつ完全な復旧が可能となります。
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