復旧不定期日誌19, HDDのキャッシュについて-その1

HDDにはキャッシュと呼ばれる、
一時的にデータを蓄える事のできるメモリがあります。

これは、速度に関してメモリの方がディスクよりも遥かに速いため、ディスクに書き込まずにメモリにデータを蓄える事により、パフォーマンスを「優先」する事ができます。

何かを「優先」するからには、何かしら「犠牲」が付きまといます。
その犠牲が「データ安全性」だったりもしますので、注意が必要です。

2021年1月:この「データの安全性」を犠牲にする点については、近年までも続いてしまいました。それが、SSDのベンチマークです。安全性考慮のうえで楽しむ分には問題ないのですが、明らかに「熱のキャパシティを超えて過激な競争になっていた」と、指摘されていた専門の方(大学の半導体専門です)もおりました。半導体の発熱について、CPUなら理解できるが、なぜ「フラッシュにそのような異常な高い負荷をかけるのか」、でした。

おっと、話を戻します。キャッシュの話でした。
このキャッシュは電気が遮断されると内容が消失します。
コンピュータ側からは、
HDDにデータ移転が完了したように見えても、それがキャッシュに存在していたら、です。

正常にシャットダウンすれば、OSがその間にデータをディスクに待避させ問題ないのですが、不正終了の場合はデータ損失の可能性が出てきます。

電源を切断の際、以下の動作を行います。
※ 2021年1月: 現在の高性能なドライブであっても、以下の操作は必須です。

1, キャッシュの内容をディスクに戻す
2, ヘッドを退避させる

不正終了でも、1の動作によりある程度は保護されています。
しかしながら、電源断の地点で電力が得られないため、
基板に溜め込んだ電気で1と2の処理を行う必要があります。

キャッシュが多く、退避する量が多い場合、電力不足に陥る可能性がありますね。
ここで、2の「ヘッド退避」だけは失敗が許されません。
これに失敗するとヘッドが吸着して物理的に故障し、全データが消失します。
すなわち、ヘッド退避を優先するため、
キャッシュの内容を一部破棄する可能性だって有り得ます。
一部損失しますが全データ消失に比べれば、です。

やはり、プラッタ枚数とキャッシュが大きいモデルは、退避分電力が間に合わず、
吸着により故障を起こす可能性が高いです。
以上より、キャッシュが大きいと不意の電源断に弱くなります。

では、キャッシュが大きい場合の恩恵はどの程度だろうか。

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