そして重要になるのが、この動作安定度の性質と、RAIDの組み合わせです。
単独のドライブであっても、ランダムアクセスが多い通常使用の中では、動作安定度から見えてくる劣化の兆候は隠れやすい傾向があります。
では、このような性質を持つドライブを、RAID構成にした場合はどうなるのでしょうか。
RAIDでは、ストライプサイズを基準として、複数のドライブにデータが分散されます。
そのため、1台のドライブに現れている微妙な応答時間の乱れや読み取りの不安定さが、全体の動作の中に埋もれやすくなります。
つまり、単独ドライブでも見えにくい劣化が、RAID構成ではさらに見えにくくなるのです。
そしてこの傾向は、ドライブ台数が増えるほど強くなります。
アクセスが複数のドライブへ分散されることで、異常を検知するためのトリガーが薄まっていくような状態になります。
本来であれば目立つはずのわずかな遅延や不安定さが、RAID全体の処理に吸収され、表面化しにくくなるのです。
その結果、不完全な状態のドライブが、気付かれないままRAID内に積み重なっていくことがあります。
そして、そこに軽微な障害が発生したとき、RAID全体の完全性を保てなくなり、一気にアクセス不能へ進むことがあります。
RAIDの故障では、ある日突然、構成全体が崩れたように見えるケースがあります。
しかし実際には、その前段階として、複数のドライブに小さな劣化や不安定さが蓄積していた可能性があります。
このような故障パターンは、RAIDの逆説的な性質から生じることがあります。
RAIDは稼働継続性を高める仕組みですが、その一方で、個々のドライブに現れる劣化の兆候を見えにくくしてしまう側面もあります。
だからこそ、RAID環境では、単に動いているかどうかを見るだけでは不十分です。
各ドライブ単位での動作安定度、不良セクタ、応答時間、読み取り傾向を確認し、隠れた劣化を早い段階で把握することが重要になります。
