不良セクタの分類として、さらに深刻な状態に位置するのが「読み書き不能セクタ」です。
これは、読み込みも書き込みも成立しない状態のセクタを指します。
読み込み不能セクタや書き込み不能セクタの段階では、状況によっては代替処理や再試行によって、一時的に読み書きできるように見える場合があります。
しかし、代替処理が追いつかない状態や、予備領域による吸収ができない状態まで進むと、読み込みも書き込みも成立しない「読み書き不能セクタ」へ移行することがあります。
この状態では、ドライブが正常なデータを返すことができず、さらに新たな書き込みによって状態を回復させることも困難になります。
HDDの場合、プラッタの傷、磁性体の損傷、ヘッドの不安定化、記録面の劣化などが原因となることがあります。
代替セクタが完全に尽きる前であっても、物理的な損傷が大きい場合には、読み書き不能の状態が発生することがあります。
また、動作温度が高い状態では、記録状態の不安定化や部品への負荷が増えることがあります。
そのため、ドライブは適切に冷却しながら使用することが重要です。
書き込み不能セクタとの大きな違いは、読み込みすら成立しない点です。
書き込み不能セクタでは、書き込みに失敗しても、既存のデータを読み出せる可能性が残っている場合があります。
しかし、読み書き不能セクタでは、再試行を行っても正常なデータを読み出すことが極めて困難になります。
つまり、読み書き不能セクタは、読み出しエラーとして表面化し、さらに書き込みによる回復も期待できない、非常に深刻な不良状態です。
SSDの場合も注意が必要です。
一般的には、書き込み寿命が尽きたSSDが読み取り専用のような状態へ移行することがある、と説明される場合があります。
しかし、すべてのSSDが安全に読み取り専用へ移行するわけではありません。
実際には、コントローラの故障、NAND管理情報の破損、ファームウェア異常、電源系統の不具合などにより、突然認識不能になることもあります。
特にM.2 SSDやNVMe SSDでは、ドライブ自身が制御不能となる物理障害も多く見られます。
この場合、読み取り専用へ移行する前に、ドライブ全体が認識できなくなることがあります。
そのため、SSDであっても「寿命が来たら読み取り専用になるはず」と期待して、バックアップなしで運用することは非常に危険です。
読み書き不能セクタは、ドライブの劣化や物理故障がかなり進行した状態を示す重要なサインです。
この状態が確認された場合は、無理な再試行や修復操作を続けるのではなく、可能な限り早い段階でデータ保全を優先する必要があります。
