いつもお世話になっております。
担当の矢野と申します。
今回はNASの事例となっております。
やはり、内蔵HDDをWindowsに繋げてもデータが見えない性質上、
本事例のようなパターンが起きております。 はじめ、別の業者にて診断をお願いしたところ、
非常に高額(30万~50万円)だったゆえ、何とかキャンセル(成約の強要あり)し、
さらに別の業者に相談され復旧不可、最終的に弊社にご相談をいただきました。成約の強要というのは、
「2度と復旧できなくなる」「これがラストチャンス」という言葉を、
電話等で成約を得られるまで繰り返すという手口となっております。
最近は、さらにエスカレートし「**日が復旧のタイムリミット」と日付指定されたり、
30分以内に承諾しないと完全に壊れた状態で返送となると言われる場合もあるそうです。
そのなかでも「30分以内に承諾しないと完全に壊れた状態で返送となる」
とはどのようなものかを検証するのが本日の主旨です。
本件がこのパターンに該当いたします。
その業者によると、物理障害のためHDDの開封が必要との事です。
ただ、その割には画像サムネイルが添付されたリストが手渡されております。
画像サムネイルを出すにはデータ復旧を実施する必要がございます。
なぜならば、サムネイルはデータの一部で、実データを読み込む必要があるためです。
さらに、データ機密保持の観点からも問題となりますので、
普通の業者さんではリストが上限で、それ以上は絶対にやりません。
初期診断の段階でデータ復旧を終えていて、お客さまの許可なしでデータを持っていると考えられます。
そして、自社以外で復旧できないよう細工し、キャンセルの場合でも他業者にて復旧不可を確認させ、
再度戻ってくるのを待つ(その際、他復旧不可という理由を加え80万円程度の請求)
という悪質なパターンと考えられます。
ちなみに、このあとさらに別の業者さんに診断していただき、
まともな状態ではなかったようで、復旧不可となったそうです。
HDDを裏返して拝見したところ、一発でそのワケが判明いたしました。
比較用に2台並んでおります。
左が本案件で、右側のものは別案件となります。
この型のLinkStationは壊れ易いようで、依頼数が多いゆえ重なる場合が多いです。
※ XFSフォーマットを採用したタイプの方が壊れ易いような印象があります。
赤丸と黄丸を比較して頂ければ分かりますが、
左は半田コテを当てられ、なんと部品がなくなっております。
電源部分の抵抗を調べた結果、無限大となりましたので回路が切れております・・。
試しに電源を入れたところ、回路が切れておりますので当然ながら電源が入りません。
画像サムネイルはどうやって出したのでしょうか?
というのは冗談で、データを引き出したあと、ジャンパ抵抗(0オーム抵抗)を外しただけです。
その部分を繋いだらHDDは稼動いたしました。ただし、読み取りが不安定で、
お客さまの指定データが1GB以下だったので助かりました。
しかしながら、最初の業者が診断した「HDD開封」は必要ありません。
指定データが復旧できましたのでこれ以上は深追いいたしませんが、
物理的な衝撃を加えられていた可能性も考えられる訳です。
何度叩いても壊れてくれないからジャンパ抵抗を外したと憶測してしまいます。